顧客対応には、状況を把握する、目的を明確にする、対応の流れを示す、提案する、合意を形成するなど、対応を成立させるためのさまざまな技能があります。
しかし、これまで企業では、それらを「丁寧な対応」「傾聴する」「分かりやすく説明する」といった言葉で捉えることが多く、教育する人、評価する人、部門、システムによって意味や判断が変わるという課題がありました。
私たちは、顧客対応を構成する技能を識別し、共通の単位として扱えるようにしたものを「技能ID」と呼んでいます。
「何ができたか」を、対応の構造で捉える。
技能IDは、単なる評価項目ではありません。
顧客対応の中で、どの場面で、何のために、どの技能を使うのか
を識別するためのコードです。イメージとしては、
顧客対応という仕事
↓
【職務工程】
×
【技能】
×
【技能要点】
↓
技能ID
たとえば、同じ「説明する」という行為でも、顧客の状況を確認する前の説明と、目的を確認した後に必要な情報を提示する説明では、対応上の役割が異なります。
技能IDを使うことで、対応を単なる「話し方」ではなく、目的を持った技能の組み合わせとして捉えることができます。
だから、「良い対応」を分解できる。
「この人は対応が上手」という感覚的な評価から、
どの工程で、どの技能が実行できているのか。
どこに不足があるのか。
を具体的に捉えられるようになります。
同じ技能を、同じ名前で扱うためです。
これまでの顧客対応では、同じような行動でも、
教育では「確認力」
品質評価では「ヒアリング」
KPI改善では「再入電防止」
AI設計では別の指示
というように、目的ごとに異なる言葉や基準で管理されることがありました。
技能にIDを付けることで、

同じ対応行動を、異なる業務でも同じ単位で見るためのキーにできます。
技能IDを教育だけで使えば、教育用のコードです。
品質評価だけで使えば、評価コードです。
しかし、同じ技能IDを教育・対応設計・品質評価・KPI・VOC・AI設計・評価に共通して使うことで、技能IDは企業の顧客接点をつなぐ「共通コード」になります。
教える基準と、評価する基準と、AIを設計する基準をつなぐ。
たとえば、
教育した技能が、実際の対応で使われたか。
↓
その技能が使われた対応では、KPIにどのような違いがあったか。
↓
そのとき、顧客の反応やVOCにはどのような変化があったか。
↓
人だけでなく、AI対応でも同じ技能・構造が機能しているか。
こうした情報を、同じ技能IDをキーとしてつないで考えられるようになります。
従来のKPI管理では、FCRが82%から84%になった。という「結果」は分かります。
しかし、経営にとって本当に知りたいのは、その数字だけではありません。
なぜ変わったのか。
技能IDを共通キーとして対応と結果をつなぐことで、たとえば、
ある顧客状態で、特定の技能を使った対応では再入電が少ない。
あるいは、
ある問い合わせが増加し、それに伴って同じ技能を必要とする対応が3か月連続で増えている。
といった対応構造の変化を捉えられるようになります。
さらに、
この変化は、商品説明、Web導線、契約プロセスなど、顧客体験の別の場所に改善余地がある可能性を示している。
という仮説につなげることができます。
ここで初めて、
KPIを見る → 対応を見る → 顧客の変化を見る → 改善につなげる
という流れが生まれます。
人とAIを「別々の品質」で管理しない。
AIが顧客対応を担うようになると、新しい問題が生まれます。
人には人の教育基準・評価基準があり、AIにはAIの設計基準・評価基準がある。
これでは、同じ顧客に対応しているにもかかわらず、顧客体験を一つの品質として管理できません。
そこで共通コードを使います。
人の対応
↓
技能ID
↑
AIの対応
人が行った対応も、AIが行った対応も、「顧客に対して何を実行したのか」という共通の構造で捉える。
これによって、人とAIの役割分担、教育、評価、改善を同じ顧客接点の中で考えられるようになります。
そして、共通コードの価値は「AIを評価できる」だけではありません。
大量の顧客接点データをAIが分析することで、
何が増えているのか。
どこで顧客がつまずいているのか。
どの対応構造で結果が変わっているのか。
といった変化を検出する。
そして人が、
なぜ、その変化が起きているのか。
を読み解き、商品・サービス・業務・顧客体験の改善を設計する。
AIが大量の変化を検出し、
人が意味を読み、
事業や顧客体験を設計し直す。
これが、私たちが考えるAI協働です。
技能ID
対応を共通の単位で捉える
↓
共通コード
教育・品質評価・KPI・VOC・AIをつなぐ
↓
顧客の変化を発見する
↓
AIが変化を検出する
人が意味を読み解く
↓
商品・サービス・顧客体験を改善する
↓
経営の意思決定につなげる